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2008年7月 1日 (火曜日)

ものがたり:くすり指

僕は両手いっぱいの

水を地上に向けた顔面に

おもいきりかけた

 

目は覚めない

じゃあこれはやっぱり、

夢じゃないんだ。

 

確かにあった

 

確かに入ってた

 

僕はこの目でみたんだ

あんなに衝撃的なもの

見間違うはずがない

 

 

八月の最後。

あしたからもう九月だというのに

未だに太陽は勢力をよわめず

 

僕の肌は昔から色黒いが、

毎年この時期はさすがに

太陽がうらめしい

 

校庭が暑さを反射する。

蜃気楼をはさむ、

遠くにみえるゆらゆら揺れる

鉄棒はきっと熱さを吸収して

熱くて、熱くて、触れないだろう

 

さっきから蛇口から

水が勢いよくながれてる

 

僕は蛇口をしめた

そして、汗だか水道の水か

わからない顔中の水滴を

腕でぬぐった

 

冷や汗か。

 

 

僕のいま立ってる水道、

そこからちょっと歩いた所で、

僕はさっき夢を見た(実際

夢じゃなかったけど)

 

だって、夢だとしか思えない。

現実じゃないよ、こんなの。

 

僕がさっき夢をみたばしょ、

  ゴミ捨て場。

 

さがしものがあったわけじゃない。

なんとなく、嫌な予感がしたんだ。

このゴミ袋の真横を通った時。

 

嫌な予感は気付かないふりを

したほうがいい。

平和な日常をおくるにふさわしい、

ぼくがさっき痛感した教訓。

 

 

僕のさっきみた「夢」

 

単刀直入にいうなら、

ゴミ袋の中に大量のくすり指が

はいっていた。

 

人間のくすり指。

 

それも、きれいな女の人の

手に今までいたのであろう、

綺麗なくすり指ばかりだった。

一般のゴミ袋にはいってるような

紙くずのゴミの上に、

大量のくすり指。

  

当然のことながら、

指の切断部分は血でおおわれ、

季節は夏であるため、

鼻にとどくにおいは、

ツン、と異臭極まりない

 

 

不思議なことに僕は、

その異様な光景から

逃げ出すことも拒否反応が出ること

もなく、そこに居続けていた。

 

というか、うごけなかった。

目がはなせなかった。

 

これを切断した人(そもそも

「人」が切断したのだろうか)

はなんの目的で切断した?

 

なにか嫌な予感がする。

 

こんなに沢山の人から指を

奪って、

しかもこんな小学校のゴミ捨て場に、

だれに見つかるかわからない

ゴミ捨て場に、

 

もしかしたらここの小学校の

誰か小学生が

このゴミ袋をひらいて…

 

 

僕は息をのんだ。

目の前の沢山のくすり指。

このくすり指の「持ち主」は

今もちゃんと息をしているの

だろうか。

 

殺された?

 

強制的にくすり指を奪われた?

 

 

そもそも僕はこの指の山の

前にすわっていてもいいのか?

 

僕のまわりには

幸いにも誰もいないが、

 

この指の山を造りだした「犯人」は

僕じゃない事は僕だけがわかってる。

 

 

 

 

 

 

-『僕だけにしかわからない』

 

たとえばここでこの光景が

誰かに(僕以外の人)みつかって、

すべてを僕の予想通りに察知され、

たくさん質問をされ、

何を答えても疑いの眼差しでみられ…

 

 

  

目の前の景色がかわった。

僕は僕の目の色が

変わったのがわかった。

たぶん今の僕の目は尋常じゃない。

 

 

な く さ な き ゃ

 

この「夢」を無かった事にするんだ。

目の前の現実を無かった事に

するんだ。

 

この「指」を無かった事にするんだ。

目の前の指の山をー………

 

 

 

気付いたときには僕は

一心不乱にそのくすり指を

自分の身体の中に隠していた

 

 

 

くすり指を、たべた

 

 

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、

いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、

ここのつ、じゅっこ、じゅういっこ

 

いつどのタイミングで

口のなか沢山にひろがる

血(指)の味を飲み込んで

体のなかに押し込んだか分からない。

 

もうちょっとだ

もうちょっとだ

 

つまんでは、口の中へ。

つまんでは、口の中へ。

つまんでは、口の中へ。

 

噛むことも今は忘れよう。

 

飲み込んでしまえば

 

僕の記憶の中からもきっと消える。

だって目に写らないから。

目に見えないなら、

未来の僕はきっと「暑さに

やられて幻覚をみた」と

勘違いしてくれるだろう。

未来の僕は、

僕の目の前の今のこの

光景を「幻覚」だと

 

「幻覚」だと

 

僕の肌の毛穴からは

今まで経験したことないような

汗がたくさん、たくさん、たくさん。

 

指(血)の味? 

ー……そうか、夏だから。

夏だから、

腐ってしまってるのかな、

この指の山は。

 

暑さから? 

頭がクラクラする。

きもちわるい。

きもちわるい。

 

 

 

 

ごちそうさま

 

これでもう大丈夫

 

 

さっきの僕の思った通り

 

もう「指の山」なんかない

 

ぼくがみたのは、

ぼくの「勘違い」

 

さっきの僕の予想どおりの

勘違い。

 

 

 

頭が絶えずクラクラするのは

この、うだるような暑さのせい

 

頭が絶えずクラクラするのは

この、うだるような暑さのせい

 

 

暑さのせい

 

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コメント

今五領の一年です。来年神田高校に入ったら軽音部に入りたいのですが入れますか?

投稿: | 2008年7月 1日 (火曜日) 午後 10時07分

記念日じゃーんhappy02heart01

おめでとう(^o^)/

投稿: のぞみ | 2008年7月 2日 (水曜日) 午後 04時47分

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