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2008年3月20日 (木曜日)

偽日記:マッチ

僕と君しかいない理科室は、

僕と君が一言も喋らなければ

シーンとしていた。

こんなにも理科室は広かっただろうか。

外からはセミの鳴く声が聞こえてくる。

 

君は僕の真正面に座っている。

  

君は、燃えている小さな火を

目の前の細いろうそくにチョン、と

移して、それから、少し怯えながら

マッチ棒の先の炎をふっと消した。

火はフッと消えてから白い煙を出した。

 

火が消えてから少し経って、

君はふうっ、っとため息をついた。

 

僕は首をかしげる。

君は僕に気づいた。

 

「火が、こわいんだよね。」

 

「そうなんだ。」

 

「小さい頃、花火の火をぐっと

握っちゃって超熱い思いして、

それから火がちょっと怖いんだよね。」

 

「跡とか残ったの?手に。」

 

「うん、ほらここ」

 

君は左手を開いて、てのひらの

中心部分のすこし茶色っぽい赤に

なっている部分を、ここだよ、と

指で指した。

 

「ふうん、痛そうだね。」

 

「痛かったよ。」

 

 

・・・。

 

沈黙になってしまった。

僕は目の前にある、ろうそくに目を

移した。ろうそくはさっき見たときよりも

だいぶ小さくなって、半分くらいの

大きさになっていた。

 

ろうそくの足元には溶けた「ろう」が

たまっていた。

すこしテカテカしていた、

触ったらやわらかいのだろうか、

硬いのだろうか。

 

僕はろうそくの根元に手を伸ばして

ろう に触ろうとした。

君はすぐに僕の手をつかんだ。

「だめ!!!!」

 

君が僕の手をつかんでいる。

君の動いた衝撃でろうそくの火が消えた。

白い煙があがっている。

 

君は僕の手をつかんだまま僕をじっと

見て黙っている。

僕は君に手をつかまれた事に

ただただびっくりしてじっと君を

見ている。

 

・・・。

 

「・・・・ごめん。つい。」

君は僕の手をぱっと離した。

 

「ん、いや、別に大丈夫だけど、

どうしたのいきなり。」

 

「だって、今、

ろうそくの火を握ろうとした。」

 

君は目をきょろきょろさせながら

喋った。

 

「だから、か。ごめんね

心配させて。」

 

「別に、

心配なんかしてない。」

 

君は目線をあさっての方向に向けている。

・・・。

 

「そっか。ごめん。」

 

・・・。

 

ろうそくの横にはマッチ棒が三本

無造作に入っているマッチ箱が置いてある。

マッチ棒の箱はしまわれておらず、

中身のマッチ棒が見えてしまっている

状態だ。

 

僕はマッチの箱ごと持って立ち上がった。

君はすこしびっくりしている。

 

僕は理科のテーブルの横についている

水道の前に立って、

蛇口をひねって、マッチ棒が入ったままの

マッチ箱に、

流れでてくる水道水を流し込んだ。

 

マッチ箱はまもなくびしょびしょになった。

 

「ちょ なにやってるの?」

 

「君が火を怖がるから。」

 

 

・・・。

 

僕はびしょぬれのマッチ箱を

机の真ん中―・・・まだ白い煙が

たっているろうそくのよこにポンッと

置いてどかっと座った。

 

君は少しわらった。

 

それにつられてぼくも少し笑った。

 

数時間後、理科の先生に、

理科の教室を無断で使っていた事、

僕らがマッチ箱を使っていたことを

探り当てられ、

マッチ箱が(+マッチ棒)がびしょぬれに

なって使い物にならないことを

こっぴどく怒られた。

 

僕は後悔していない。

  

p.sマッチは、乾けばまた使えると思う。

 

 

おわり。

 

つくりばなしです。

そんな大胆なことはした事ないです。

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