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2008年1月 3日 (木曜日)

*summer

_____________ 

【第一回 数学I 確認テスト】

名前_______

(1)2(x+5)-4=

_____________

 

私は昨日勉強してこなかった。

確認テストがある、と昨日補習の

先生が言っていたのは覚えている。

 

この確認テストさえ無事に終えれば

このくそ暑い中行われる

生徒1人(私)対先生(数学)の

補習は終わる。

だがしかし、私は昨日家に帰っても

勉強をしなかった。このテストを無事に

終わらせなければ補修が延長に

なってしまう事もちゃんと分かっていた。

しかし、

私は勉強をして来なかった。

もう無気力なのである。

気持ちは焦っているが、身体がそれに

ついてこないのである。

 

私は確認テストの用紙を目の前に、

シャーペンを左手で持ちながら

左側の窓の外を眺めていた。

 

たった一問なのに、

たったこれだけの問題なのに、

全く分からないのである。

全く手のつけようがないのである。

 

私はまたチラリと目線を下に、

テスト用紙を見た。

 

-とりあえず、名前だけでも書くか。

 

_____________ 

【第一回 数学I 確認テスト】

名前 高橋狩子(たかはし かりこ)

(1)2(x+5)-4=

_____________

 

さて、この問題をどうしよう。

解けない、まったく分からない。

この状況をどうすればいいのだろう。

 

空白の席がならぶなか、ぽつんと

真ん中の一つの席に、私が座っている。

目の前の教卓には補習の先生が

腕を組んでこちらをじっと見つめている。

お前はその問題が解けないのか?と、

なにやってんだ、早く解けと、

言い足そうな目をしている。

 

解けるものならさっさと解いてるから。

 

目線を先生から、その後ろの緑の

黒板にうつした。昨日の補習の内容が

薄く残っている。先生は念入りに消した

つもりだろうが、薄くチョークの文字が

見える。

私は目を細めたり少し顔を前に突き出して

みたりしてなんとかそれを読み出して

みようとしてみた。

 

その行動を怪しく思った先生が、

背後の黒板に上半身だけ向けて

黒板を確認しだした。

クルクルと上下左右なめ回すように

念入りに黒板を見ている。

 

さすがに文字が薄く残ってるのが

バレたか…?と思ったところで

また先生は上半身をクルッと私に向けて

腕を組みなおした。

 

…バレて、ない。

 

私は再び薄い黒板の文字を

読みとろうとする。

 

先生は相変わらずこちらを

じーっと見ている。

  

 

…だめだ 解読できない。

 

あたしは はぁーっとため息を

して両腕を上につきだして

仰け反って伸びをしたあと、

 

「よし」

と気合いを入れて、シャーペンの

芯をカチカチと出した。

 

私は迷わず、たった一問の問題の

下に、シャーペンで文字を記した。

記し終え、ガタンといすから立ち上がり、

教卓に座っている先生の元へ向かった。

 

先生の前へ着き、

「終わりました。」と両手で解答用紙を

手渡した。

 

先生はそれを受け取り、

じっくりその用紙を見たあと、

「よし。」と言い、赤ペンで大きく

文字の上に丸をした。

 

あたしの口から安堵の息が漏れた。

 

あたしは急いで席に戻り、

シャーペンと消しゴムを

筆箱にしまい、それを鞄に押し込んで、

椅子を元に戻して足早にドアの方まで

向かい、クルッと教卓の方へ向き、

「ありがとうございましたっ!!!」と

元気よく頭を下げて言った。

廊下を走り急いで靴箱から靴をだし、

靴ひもも結ばず無理矢理足を突っ込み

走って校舎を後にした。

 

あたしは

補習から解放されたのだ!!!

 

提出された解答用紙を片手に

ボーッと見つめる先生。

_____________ 

【第一回 数学I 確認テスト】

名前 高橋狩子

(1)2(x+5)-4=

    学校辞めます!

_____________

 

たった一問の問題の下に

シャーペンで書き殴られた文字は

確かにそう書いてある。

 

先生はノートパソコンを教卓の中から

取り出し、開いて電源をつけた。

 

エクセルを開きフォルダを開く。

「3年3組 出席簿」の欄をクリックし、

縦に並べられた沢山の名前の羅列の

中から「高橋狩子」の文字を探しだし、

 

 

その名前の横に(退学)と打った。

 

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